放電加工

このページでは、深穴加工の加工技術のひとつである「放電加工」について、わかりやすく紹介していきます。

放電加工とは

放電加工とは、電気エネルギーが発する熱を利用して、加工物に穴あけを行う技術のこと。ガンドリルをはじめとする切削加工とは異なり、対象物を溶解させることで加工するのが特徴です。

電気を通す素材であれば、どのようなものでも加工対象になるため、硬度が高く切削加工が難しい素材に対しての加工や、微細な穴あけ加工も行えます。

放電加工の強み

硬い素材に加工が可能

電気エネルギーで穴をあける放電加工は、物理的に素材を削るドリル加工と違い、素材の硬さを気にせずに加工できるメリットがあります。

ドリル加工の場合、素材があまりにも硬いとドリルに負荷がかかり、摩耗したり割れてしまう可能性が高くありました。放電加工は素材を削るのではなく、電気によって素材を溶かすため、電気を通す素材であればHRc55~60の素材でも容易に加工できます

φ0.1mm以下の微細な穴あけも

放電加工に必要な電極は小さいため、従来の穴あけ加工では対応できなかった、φ0.1mm以下の微細な穴あけニーズにも応えられます。精密ノズルやエア抜きに必要な穴あけにも有効。実際にNC細穴放電加工機が活用されているケースが多く見られます。

自動車部品や金型加工、また半導体などの精密機械の加工に適した技術です。

放電加工の弱点

誘電性がない素材には使えない

電気エネルギーが発する熱によって素材を熱溶させる放電加工では、電気を流せる素材であることが加工条件には欠かせません。そのため、電気の誘電性がない素材には、加工を施すことが不可能になります。

使用できる素材が限られてしまうことは、ひとつデメリットと言えるでしょう。

加工に時間が必要

放電加工は、ガンドリルなどの切削による深穴加工に比べれば、加工に多くの時間が必要です。というのも、加工工程では、放電によって素材を少しずつ溶解させていく必要があるためです。

そのため、大ロットの部品製造ニーズ等には不向きと言えます。

穴の深さや穴径の大きさ、素材により、複雑さが変わる深穴加工。
お願いしていたのに途中で難しいと返されてしまうことも少なくありません。
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放電加工の対応深さ

基本的に深さの上限は定められておらず、穴の直径の100倍以上の深穴加工ができるとも言われています。しかし、穴をあけるために電気エネルギーを利用する放電加工は、穴をあければあけるほど電極が減っていく仕組みになっており、深い穴をあけるためにはそれだけの電極材料が必要。コスパを考えると、深い穴あけにはそこまで向いていません。

放電加工で加工できる素材

誘電性がある素材であれば、ほとんどが加工対象。そのため、チタンやモリブデン、インコネルといった切削が難しい素材でも、深穴加工を施すことができます。

ただし、直進性はガンドリルに比べて精度が劣るため、素材だけで判断できないところもあります。

深穴加工の種類と特徴まとめ

深穴加工の種類とその特徴

放電加工の例

モルファの放電加工

放電加工01_株式会社モルファ
引用元HP:株式会社モルファ
https://morpha.co.jp/tech/edm/

「株式会社モルファ」の事例写真です。切削性が低い難素材にも放電加工を行い、素材の深穴加工を実現しています。

モルファの放電加工

放電加工02_株式会社モルファ
引用元HP:株式会社モルファ
https://morpha.co.jp/tech/edm/

こちらも「株式会社モルファ」の事例写真。「バリが発生しない」という放電加工のメリットも見てとれます。

曲がりのない深穴を空けるには放電加工は不向きな点も

放電加工におけるもうひとつのデメリットが、直進性です。一定以上の深さによって直進性を重視する加工であれば、やはりガンドリル加工やBTA加工の方が優れています

スピード性をはじめ、放電加工では対応できないシーンもあるため、ガンドリル加工やBTA加工もあわせて検討することをおすすめします。

最短即日加工が可能な
おすすめ
深穴加工業者3選

「深穴加工」とGoogle検索した際に表示された深穴加工業者上位50社を調査した結果、最短即日での加工・出荷が可能な業者は以下の3社を紹介します。

1mの深穴でもずれは0.3mm以下
精度の高い深穴加工なら

不二新製作所
不二新製作所の深穴加工事例

引用元:不二製作所HP
https://fujishin.jp/post-850/

  • 独自開発マシンで芯ずれを通常の半分以下に抑える
  • φ5mmまでは3.2mmや1.7mmなど0.1mm刻みの加工に対応
対応穴径
φ0.5~75
対応素材
鋼系、ステンレス系
耐蝕・耐熱合金、チタン系
アルミニウム系、銅系、樹脂系
芯ずれ精度
0.3mm以下
※φ10mm、1,000mmの長さで加工した場合
対応加工法
  • ガンドリル加工
    ガンドリル加工とは?

    直進性の高い深穴加工を叶える加工方法で、LD100であれば芯ずれを1mm以下に抑えられます。金属・非金属問わず、一般的にφ3~30程度の加工が得意です。

  • BTA加工
    BTA加工とは?

    曲がりを抑えながら直径の50倍を超える穴あけも可能な方法で、切りくずをドリル内に流し込みながら排出するため加工面が綺麗に仕上がります。トレパニング加工も可能で、φ30を超える大型の穴あけが得意です。

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φ100mmを超える加工もOK
大型の深穴加工なら

深江特殊鋼
深江特殊鋼の深穴加工事例

引用元:深江特殊鋼HP
https://www.bta-gd.com/case/1166/

  • 計5台の深穴加工マシンで、φ4~300までの大型穴加工を実現
  • 自動でセッティングしてくれるマシンもあり、無人加工のスピード対応
対応穴径
φ4~300
対応素材
鋼系、ステンレス系
耐蝕・耐熱合金、チタン系
アルミニウム系、銅系、樹脂系
芯ずれ精度
1mm以下
※φ10mm、1,000mmの長さで加工した場合
対応加工法
  • ガンドリル加工
    ガンドリル加工とは?

    直進性の高い深穴加工を叶える加工方法で、LD100であれば芯ずれを1mm以下に抑えられます。金属・非金属問わず、一般的にφ3~30程度の加工が得意です。

  • BTA加工
    BTA加工とは?

    曲がりを抑えながら直径の50倍を超える穴あけも可能な方法で、切りくずをドリル内に流し込みながら排出するため加工面が綺麗に仕上がります。トレパニング加工も可能で、φ30を超える大型の穴あけが得意です。

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55年以上樹脂加工に注力
熱に弱い樹脂の深穴加工なら

ヤマデン
ヤマデンの深穴加工事例

引用元:ヤマデンHP
https://yamaden-ltd.co.jp/service_category/processing/

  • 樹脂の加工実績を多く持ち、流通している99%の樹脂素材を加工可能※1
  • 樹脂に注力した加工を55年以上続け、深穴加工だけでなく切削も対応
対応穴径
φ1~75
対応素材
樹脂系
(流通する99%の樹脂素材に対応)
芯ずれ精度
不明

対応加工法
  • ガンドリル加工
    ガンドリル加工とは?

    直進性の高い深穴加工を叶える加工方法で、LD100であれば芯ずれを1mm以下に抑えられます。金属・非金属問わず、一般的にφ3~30程度の加工が得意です。

  • BTA加工
    BTA加工とは?

    曲がりを抑えながら直径の50倍を超える穴あけも可能な方法で、切りくずをドリル内に流し込みながら排出するため加工面が綺麗に仕上がります。トレパニング加工も可能で、φ30を超える大型の穴あけが得意です。

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※1 2021年9月時点の情報です。

※「深穴加工」のGoogle検索結果画面に出てきた上位50社の深穴加工業者の中から、公式サイトで即日加工可能・即日出荷可能との記載があった業者をピックアップしています。

※芯ずれ精度は加工する素材や条件によって異なります。
不二新製作所芯ずれ精度 参照元:不二新製作所(https://fujishin.jp/page-115/page-183/)
深江特殊鋼芯ずれ精度 参照元:BTA・ガンドリル加工.COM(https://www.bta-gd.com/column/3945/)